2006年の初の核実験から既に北朝鮮発の懸念は燻っていましたが、この問題のここ数か月の展開は驚異的です。
この展開により見えるのが、同国の交戦姿勢における積極性です。
従来から北朝鮮は、自国の力の顕示、及び対米国への挑発的な態度を採ってきましたが、結局これらは、米国や関係各国に「核保有を容認させるためのパフォーマンス」という見方がされてきました。
しかしここ最近の北朝鮮のアクションは、ミサイルの着弾目標を具体的に示唆したり、実際に日本の上空にミサイルを通過させるなど、ただのパフォーマンスとは言い難い積極的なものとなっています。
これにより米国やその周辺国も、北朝鮮が「戦争をも辞さない構え」である事を認識せざるを得ない状況になっており、その懸念はマーケットにも拡がっています。
NYダウ平均株価は、米国の債務上限で法人税減税政策の実現が遠ざかったとされるも、未だ買い意欲は強く、特にこの北朝鮮リスクにより軍需セクター株価上昇が目立つ様になりました。
しかし、8月8日をピークに上値も徐々に切り下げてきており、現在はトライアングルを形成しています。
対して、日経平均株価は節目であった19,250円を、ドル/円は108円の往台を割り込み107円台に突入、着実にダウントレンドを形成しています。
しかしこういった北朝鮮のアクションの攻撃性が急伸したのは、やはりトランプ大統領の発言によるところがあるでしょう。
「世界史上類を見ない炎と怒り」や「軍事行動は選択肢の一つ」といった過激ともとれる挑発発言は、むしろ北朝鮮の交戦姿勢を煽っている様にすら見えます。
これらの発言は米国内でも懸念されており、60名以上の議員連盟が、国務長官宛てに「慎重な対応を求める」旨の書簡を提出しています。
あの中国でさえ、米朝対立の巻き添えを恐れて中立を求める声が出ていますし、何より、当の北朝鮮の金正恩氏すらトランプ氏に対し「理性を失っている」と指摘する程です。
このトランプ大統領の北朝鮮に対する発言により、「北朝鮮問題が解決に向かう」と思う人がどれ位いるのでしょうか。
先にも述べましたが、北朝鮮問題に展開があると軍産セクターの株価が上昇を見せています。
世界的な株価指数であるNYダウ平均が、工業銘柄で構成されている事からも解る様に、米国の株価は、軍産セクターによる寄与度が他国に比べ高いです。
こういった背景もあり、トランプ大統領の発言によりキナ臭い雰囲気が漂う度に、株価上昇するという皮肉な現象が起こっています。
しかし今回の北朝鮮に向けた発言は、政権発足当初からトランプ大統領が発言していたドル安誘因発言を彷彿とさせるところもあり、もしかしたらこのチキンレースには、「解決」という本来の目的とは別の狙いもあるのかもしれませんね。
コラムニストについて
- 元外資系保険会社の日本展開スタッフして勤務するも、会社トップの判断で急遽日本展開が白紙になる。 企業に属する不安定さを感じ、企業に属さない「新しいビジネス形態」を確立させるため数十社の企業と業務提携を行い、幅広いお客様のニーズに合わせることのできる知識と商品を持っているため、顧客の満足度は高い。同じ不安を持つ同世代に対して「新しいビジネス形態=自分で年金を作る=資産形成の重要性」を提案。
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